備忘録 of Making 2
乳首に注意(発泡に注意)

 フィギュアを作るに当たり、試したこと&失敗したことを書き留めるページです。
 これから書き留めることは、参考になる、というよりかは初心者は
 こんな失敗もするねん。という程度にとらえて経験者の方には笑っていただき
 同じく初心者の方には"気を付けるべし"と感じていただければ
 郡津としては幸いです。

複製注型時避けては通れない話、"発泡"。
ある人は型をぷんまわし、ある人はマッサージ器で揉み、ある人は、真空槽を自作する。
そんな無茶はできないけれど、原型と型設計、そして注型条件でかなりの部分は
フォローできるというのが今回の話題です。

複製注意点2.乳首に注意(発泡に注意)
成型後、キャスト注型の際、不慮の発泡が発生する可能性があります。
これは原型やキャストのフロー設計にもよるところが大きいのですが、
行程の不備でも変に発泡することがあるので注意が必要です。

・左右対称型の場合、発生した気泡が分岐部分で引っかかって滞留する場合があります。


上の写真は 00"クレス"の胴体部 現版になります。 左が下版、右が上版です。

 00"クレス"は胴体部分を1つの型で構成した場合の典型例です。
 これを胴体さかさまのアンダーゲートで型構成した場合、
 きれいな左右対称となっているため、ちょうど股間の部分に
 気泡がたまってしまうことになります。
 知人曰く"やおい穴ができる。" orz
 
 注型時に発生する気泡なので対処方法がいろいろとあるのですが、
 この場合、ゆする、叩く、振る、などの振動系の方法はあまりうまくいきませんでした。
 振動系の方法はあちこちで説明されていますが、やってみた限りではほとんど効果
 は感じられませんでした。それもそのはずで振動を加えるたびに新たな気泡が
 発生するリスクもあるわけですし・・・。
 詳しく調べてみると気泡は遅れて下方より上っており、股間にたどり着いたあたりで
 ちょうど硬化が始まってしまうようでした。つまりそもそもその気泡が股間部で
 溜まらないようにしなければ硬化開始に間に合わず、解決の方法はありません。
 情けないハナシ、これがわかるまでに30ショットくらいだめにしました。
 
 で本題の方法ですが、型そのものを10度くらい傾けて注型することであっさりとこの現象は
 消滅しました。つまりフロー的に見れば左右対称型で無い方が案外
 気泡の滞留は生じさせにくいかと思います。

・型形成後はできる限り原型をいじらんほうが吉かと。
 頭髪などどうしても流れが確保できない逆テーパーの固まりは型形成後に
 触らざるを得ませんが、微細部分はいじるとはまってしまうことがありますので要注意です。
 
 00"クレス"の 乳首の場合、本来は突起状のものを構成するはずでしたがあまりにも
 小さいパーツのためうまく流れてくれないという事象がありました。
 それに対し、"型側の穴をちょっと大きくすればいいのでは"と単純に考えた郡津は
 針で小さな穴を掘り込みました。これが悲劇の始まりでした。
 針でつついて掘り込んだ穴はきれいな穴ではないため空気抵抗が高く、
 そこに空気がたまります。もうお分かりですね。"発泡"してしまうんです。
 00"クレス"は胴体部分を1つの型で構成したため全体容積が高く、
 キャストが硬化時に発する硬化熱は半端ではありません。
 できたものは胸のあたりに細かい気泡の集まりをつくり、大きくなったものは
 前段のように股間側に溜まったのです。前段と違い問題となるのは
 そもそも発熱で発泡するのだから、硬化のタイミングで発生するということで
 逃げ道があまりないということです。(傾けるという方法が使えない)

 ここであきらめて穴をふさぐなどの処理を
 取ればまだ幾ばくかの道はあったの
 ですが悪あがきをしてしまいました。
 立体型なので乳首から上部側の大腿部まで
 原型に空気穴を通してしまったのです。
 これは外科手術でいうところのシャント術に
 あたり、原理的にいうと間違いでは
 ありませんが、結果的にはこれがとどめに
 なりました。
 この穴もまた小さく、ただの空気だまりを
 構成するものでしかなかったのです。
 仮に穴を大きくして空気の通りを良くしても、
 型に対しループ状に絡む事になりそもそも
 取出しが不可能になります。あせっていた
 せいでしょうか、こんなことにも
 気づかなかったのです。
 

結局、穴は閉塞し空気よけのためキャスト側に突起する陥没乳首仕様となってしまったのです。
 (まぁこれはこれでアレな感じがしていいかもーと妙に納得してしまう自分のプラス思考が恨めしい)
 

 教訓  原型は型のことを配慮しできる限りのことを尽くしてつくること




最後に下の写真をご覧ください。


これは空気穴が山越え谷越えができるかという
実験です。2mmのプラ丸棒を通しています。

結論から言うとまったく問題なく通っています。
実は発泡よりも一番最初は、これが心配だったんですが・・・