備忘録 of Making 1
引っ付いたり離れたり(離型剤に注意)

 フィギュアを作るに当たり、試したこと&失敗したことを書き留めるページです。
 これから書き留めることは、参考になる、というよりかは初心者は
 こんな失敗もするねん。という程度にとらえて経験者の方には笑っていただき
 同じく初心者の方には"気を付けるべし"と感じていただければ
 郡津としては幸いです。

通常フィギュアを作るときは2面以上で型が構成されるのが普通だと思います。
郡津の型生成手順は、

1. 型ブロックで、囲いをつくりほいく粘土で土台をつくりその後
  取り出しとキャストフローを配慮し原型とフロー用のプラ棒を設置。
  うちの回路設計はほとんどの場合アンダーゲート法を採用しています。
2. パーティションラインの出るところに配慮しつつ半面を丁寧に粘土で埋めていく
3. タボ打ち
4. ハイリムーバー94をほんのわずかに噴射(型によっては省略したほうが良い)
  これによって粘土がとりやすくなるが、定量を吹き付けると原型ごと
  抜けてしまうので注意
5. 1面目のシリコンを注入。硬化後、粘土面をゆっくり除去。
6. ハイリムーバー94を射出後10分程度放置
7. 2面目のシリコンを注入。硬化後、原型を脱型。


フィギュアを作る作業の上で困ったことはすべてが累積型の手順によるためにあります。
どれか1つの行程でもミスしてしまった場合、大抵それまでの作業すべてもアウトに
なってしまいます。最悪の場合は原型破壊にもつながりますので、
気が抜けられません。


複製注意点1.離型剤に注意(シリコン対粘土、シリコン対シリコン、シリコン対キャスト)

郡津ではシリコン対キャストの離型剤にバリヤーコートを使用していません。
フッ素系スプレー ハイリムーバー94を代わりに利用しているのですが

これには大きなメリットがいくつもあります。
・原型やその塗装を侵食しない。
・シリコン対シリコンにも使える。
・やろうと思えばシリコン対粘土にも使える。
・スプレー式なので原型にもまとめて吹けて、時間的に超効率的
・表面がやや落ち着いたマット状になる。






ちょっと割高ではありますがお手軽便利で無敵なハイリムーバー94は
個人的に超お勧めなんですが、注意事項もいくつかあります。
これを抜かしてしまうと大変に悲しい結果が訪れるので注意が必要です。

(やっちまった失敗だけでも列挙すると)
・スプレー式なので近づけ過ぎて吹いたり、大量に吹いた直後は
 原型が結露していたりガスが滞留(?)していたりで発泡します。
 しばらく待つか強制乾燥させるしか手がありません。
 シリコン対キャストの場合は硬化熱で1回ガス抜けすればその後は
 ほとんど問題がありません。

 しかし、シリコン対粘土の場合(1面形成時)、 原型接触面では
 ほとんど問題ないものの粘土接触の面で大量の微細発泡が
 起こることがあり、使わないほうがいいかなぁー と思ったり
 思わなかったり。(また、この微細発泡がいい噛み合わせに
 なったりすることがあるんで即アウトとは言えなかったり(笑))

 ←シリコン対粘土で発泡が発生している場合



・当然のことですが、絶対必要な面では忘れてはいけません。
 そう、シリコン対シリコンですね。これはハイリムーバーのせいではありませんが、
 こいつくらいお手軽になってしまうと、つい忘れてしまうことがあるのです。
 ちなみに、これを忘れてしまった場合にはシリコン同士が接着して
 はがれなかったり、原型を閉じ込めてしまったり
 故、取り出すときに1面もろとも潰さなければならなかったり
 最悪の場合、取り出しの際、原型が破壊されてしまいます。
 
 ・・・ええ、やっちまいした。閉じ込め&原型破壊。高さ方向にも寸法がある
 立体型だったんで時間をかけて粘土とった後で、安心してしまい、
 処理を忘れて2面目をちゅうにゅうー。
 そして注入直後に気づきました。離型処理してないことを・・・
 だってって、目の前にハイリムーバーおいてあったからorz
 2-3時間くらいは立ち直れませんでした。そして硬化後
 粘土の油分ではがれないかと僅かな期待を持ってトライして見ましたが
 やはりだめでした。初めてということもあり粘土処理を丁寧に
 やっていたせいかかなり強力な接着力です。
 この時点でシリコン2本分がだめになり7000円強の損失ですが
 それよりも問題だったのは"原型の取り出し"。これにえらい時間を
 かけてしまいました。
 郡津では信越のKE-12とボークスのEXシリコーンを使用しています。

左 信越シリコーンKE-12
右 ボークス EXシリコーン









 これは両者ともやわらかい方に分類されるのですが
 破壊する場合には話は別です。それなりに粘りがありすごくカットしにくい。
 複雑な立体型ということもあり原型の一部も破壊してしまい。怪我まで
 してしまいました。正直なところ、シリコンの損失よりも復元のほうが痛手
 な失敗でした。2度としたくない失敗No.1ですね。

 追記:このような場合の正しい処理方法ですが、直後に気づいた場合は、
     硬化する前に流したゴムを即刻撤去する方法が正しいかと思われます。
     ラッキーならば1面目が利用できますし、最悪の場合でも原型破壊は
     避けることができます。硬化すると本当にシリコンは加工しにくくなるものだと
     実感しました。それ以前に、型作りのときだけは安定した心身状態のときに
     やったほうが吉なのかも。

教訓 成型は落ち着いている時に
  
・フッ素系とはいえ添加物にオイル分を含んでいます。
 塗装前には離型落しかそれなりの洗浄が必要になります。
 ガレキ未洗浄品を販売する場合は、このあたりだけは注記しておかないと、
 お客様を泣かせることになるので配慮が必要です。
 郡津では、オレンジピールジョイによる温水付け置き洗いを
 推奨しています。 純正の離型落しの方がいいのですが、入手製のよさと
 経済的なのと、ほのかに香るオレンジの香りが作業のラストを
 締めくくってくれるので、つい。